2014年11月3日月曜日

「吉祥印」と優良誤認表示と「課徴金」制度



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 景品表示法という法律があります。昭和37年に成立し、その後、数度に渡り改正されてきました。
 また、今の臨時国会での改正がほぼ確実となったようです。
 平成26年10月24日に改正法案が閣議決定されたと報道されています。
 どのような改正法案か。

 「課徴金」制度の導入です。
 法案が成立したら、平成28年春までに施行される見通しののようです。セットで、リーニエンシーといわれく「課徴金減免制度」も導入されるようです。
 消費者問題に関わる消費者側の弁護士としては、やっとここまで来たかという想いの弁護士が多いのではないでしょうか。
 
 「課徴金」の額は、不当表示のあった商品やサービスの最長3年の売上額に3%を掛けた額とされそうです。
 その表示の商品で年間5000万円の売上げがあったとしたら、3%、150万円。たいした金額ではないですね。。。

 それはさておき、景品表示法。
 平成25年の大阪を主たる舞台とした、ホテル内のレストランの高級食材の表示の「嘘」で脚光を浴びた法律だと思います。
 レストラン、しかもそれだけで間違いはないという信頼の高かったホテル内のレストランでのできごとだったということで、世間の関心をよく集めたのだと思います。
 これが、近所の小汚い、ラーメン600円のラーメン屋さんの出来事なら、さもありなんといった受け止められかたで、あれほど報道もされなかったと思います。
 結果は、消費者庁による「措置命令」でした。
 

 景品表示法は、業者に対して、表示に関していったい何を規制しているのか。
 現行法は次のとおりです。
 
 (不当な表示の禁止)
第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの 

 1号は、優良誤認表示、2号は、有利誤認表示といわれています。

 詳細は、消費者庁のサイトに詳しく分かりやすく解説したものがありますので、そちらを参照してください。


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 そこでふと、どうなんだろうと思いました。
 はんこ屋さんが実印、銀行印等を注文を受けるにあたっての宣伝。
 「吉祥印」です。

 印象の店・成美堂でも、なぜか、実印・銀行印の注文を受ける際、生年月日をお聞きしています。
 そして、出来たハンコには、単なるハンコ、朱肉、印鑑ケースだけでなく、確か、立派な紙に印影を映して「吉祥印」として、お渡ししていたと思います。
 
 「吉祥印」を表示て注文を受けること。これって、優良誤認?

 判断基準は、条文の文言。「実際のもの」、「事実に相違」といえるかどうかになるかと思います。「実際」って何?「事実」って何?
 カシミア60%を100%と表示していたら、「実際」や「事実」は「カシミア60%」です。
 では、「吉祥印」の場合は。

 このように、実際の企業では、この表示が、景品表示法上の優良誤認、あるいは、有利誤認の表示に当たるのかどうか、よく分からない、微妙に思えることがたくさんあるかと思います。
 
 平成26年6月に成立した景品表示法の改正法案では、事業者に対して、自社が行う商品等の「表示」に関する、管理体制の整備・強化を求めています。

 し・か・し。
 中小企業、個人事業者の法人なりの店で、このような体制、専門の人員を育成、担当することは、まあ不可能です。
 そんな余裕はありません。
 
 ここから宣伝です。
 アウトソーシング。
 本当に適法にきちんと対応したい、しかし人員配置困難。
 弁護士との顧問契約が有効だと思います。それも、毎月5万円の顧問料を払って何をしくれているのか分からない顧問料ではなく、自社の業務の特徴を見極め、コンサルタントのように提案してくれる弁護士に、です。
 月5万円。リスク管理料として安いとみるのか、無駄とみるのかは経営者次第だと思います。
 となると、この制度も、なんだか弁護士と消費者庁のやらせのようですが、事業を行うということについて、労働法・労働基準法だけでなく、消費者関連の法案からも、種々の規制、倫理感が求められる時代になっているとういことで、搾取ない発展のためにはいいことなんだと思います。

 中小企業は、資金も人員も余裕がなくて、本当に大変で、慈善事業として事業をやっているのかと怒り経営者のいるかとは思いますが、その発想の転換を求められているのでしょう。
 自社の発展のみならず、三方よし。

(おわり)

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