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平成26年12月18日の日経新聞の朝刊から。
「労働組合の組織率、最低の17.5%」という見出しが目に入りました。
全国の労働組合の推定組織率ということで、平成26年6月末時点で、17.5%であり、過去最低だそうです。
これは、厚生労働省の調査。推定組織率とは、雇用労働者に占める組合員わ割合だそうで、労働組合の員数は、984万9000人とのこと。
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労働組合。
勤務弁護士時代、事務所の仕事として、使用者側で団交に出向いたり、2000年前後の金融機関再編の嵐の中、信金の職員の全員解雇事件の代理人などを他のベテラン弁護士の方々と共にさせていただきました。
また、外資系企業の残業代未払い事件での訴訟活動を手探りでさせていただき、勝訴的和解で数百万円にのぼる解決金の支払いをうけたこともありました。
いわゆる労働問題、特に解雇などは、労働者にとっては死刑宣告のようなものだと思います。
給料という月々の収入の見通しがなくなり、明日、来月からどうやっていきていくのか。次の職を探して、すぐに職が見つかるならまだいいです。それでも、新しい使用者、新しい職場、新しい同僚。
すべてがうまくいく保証はどこにもなく、緊張感の中で1日、一ヶ月を過ごしていくこととなります。
そういった職場における労働者の立場。
抗いがたい力が加わったときに何も抵抗できないの。一人では無力。
そこで、労働組合。同じ立場の労働者が集団となり、使用者に対峙する団体。
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このブログのタイトルにあるように、私の中での「使用者」のイメージは、自営業者であった父と母です。父と母が、成美堂の他の職人や、職員の方々の「使用者」です。
父と母の言葉の意識から子供なりにうかがえたのは、「働いてもらっている」という意識でした。決して、うちで「働かせやっている」といった意識はなかったと思います。
それはなぜかと考えるに。
この職場で働いてくれる人がいるからこそ、店はもっている、この人が去っていたらまた次を雇えばいいという問題ではない、ということがわかっていたからだと思います。
そういった姿を子ども心に見ていたため、「使用者」イコール、労働者を「搾取」といったイメージはなかなか得られませんでした。
むしろ、小さな店だったので、労働運動、組合活動というのはなかったかとは思うのですが、「労働者」「労働運動」というと、経営者が必死で資金繰りをしいてるところ、人の気も知らずに能天気に賃上げ要求など要求だけをする活動、といったイメージをうっすらもっていました。
解雇されたというのなら、解雇されるにはそれなりの理由があるだろう、我が身を振り返らずに、相手だけを一方的に攻めるのであれば、後ろを振り向いて人のせいにしていないで、前を向いてさっさと次の職場を探したほうが時間の使い方としていいのではないかとすら感じていました。
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しかし。やはり、ことによりけりなんだと思います。
例えば。職場でのセクハラ、パワハラ。他の同僚、上司は何もしてくれない。例えば、合理的な理由のない賃金差別。
辞めて次を探せば済むという話ではないと思います。それくらいの想像力はあります。
となると、経営者、他の上司も助けてくれない。自分一人。
そのような時、一緒の立場に立って助けてくれる労働組合があれば。違うのだろうと思います。
実際。
昔昔、弁護士業をしていないとき。目の前で,今でいういわゆるパワーハラスメント行為が繰り広げられているのを目撃しました。一人の人を特定の人が、皆の前で一方的に罵る行為。その場の雰囲気ももちろん悪くなります。その場にいる人には皆、その怒鳴り声か聞こえます。
しかし。誰も、その怒鳴り続ける人を止めようとはしません。立場ではないので、ほかの誰かがさすがに止めるだろうと当初、呆然としつつパソコンに目をやりつつじっとしていたのですが、結局、私も含めて誰も止めることのないまま、怒鳴っていた人は去っていきました。
上司にあたる人も誰も、止めず、怒鳴られ続ける人はただ一人、怒鳴られつづけていました。実際にはなんの落ち度もないのに。
驚きました。世の中に本当にこのようなことがある、このような人がいるのかと。
ターゲットは決まっていました。
そして、私が目撃した2回目。
自分が立場でないことはわかっているけど、しかし自分の立場だからこそというのもわかっていたので、一言いって止めようとしたとき、ついに見かねた上司にあたる人が、罵りつづける人に対して、言葉をかけました。
「○○くんっ!仕事上の注意をするにしても、その言い方はあかん!」と。
以後、罵る人の言動か変わりました。
注意をされてギョとした罵る人が返した言葉は忘れられません。初めてストップをかけられて、怯えた顔で言い返した言葉。
「これは僕の個性ですから!」
「そんなのは、個性じゃない!」すかさず言い返され。
こういう方が各職場にいれば、労働組合はなくてもいいのかなとは思います。
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実際、使用者、経営者が、職場の隅々まで目をいきわたらせるのは不可能だと思います。
実家の店でも、職場での職員どうしのイジメといえるようなものがあったようです。しかしそのことが経営者の耳に入るのは、もうターゲットの人が辞めることが決まってから。
そういう意味では、働く人の職場環境について、といったわかったようなわけのわからない言葉ではなく、働く人が気持ち良く働ける職場、つまりその本来の期待される能力を発揮し、会社・事業の売り上げ増に貢献してもらうためには、その意味で職場の環境を整える責任は、経営者にあるのだと思います。
環境を整えるというのは、パワハラ、セクハラ、心身の故障に繋がりやすい加重労働をしないようにする仕組み作りについて、経営者には、人を使うものとしての責任があるのだと思います。
が、しかし。その経営者自身が、そうした仕組み作り以前に暴走したとき、誰が止めるのか。
労働組合や、労働基準監督署なんだろうと思います。
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といったことをつらつらと考えながら。
「労組組織率、最低の17.5%」。
よい経営者が増えたということでしょうか?そんな理由は見当たらないので、単に、組合に助けを求めることはしていないというだけなんでしょうね。別の受け皿。敷居の低くなった、弁護士さん?
上の写真は、「週刊ダイヤモンド」。
「もうけ主義の労組に用心」として、「弁護士でもないのに労働相談が有料」「解決金の組合取り分が大きい(通常は1割から2割)」などとありました。
労働組合も組織として生きていかないといけないから、解決金から1割、2割と手数料?を請求するんですね。
要は、弁護士も含めて、他人の力を借りようと思ったら無料はあり得ないということか。
それと。最近、考えたこと。訴え提起をするのは権利だけど、時に、不当訴訟としてその責任をとってもらうことがあります。
労働基準監督署への申し立て等についても、不当なもの、明らかに事実と違うことを知ってなされている申し立て等もあるかと思います。労基署の調査に協力することによる使用者の手間は相当なものです。
不当申し立てについては、相応の責任が法律上も認められるのではないかと考えています。事実確認不十分なまま、唆した人も。
使用者も労働者も、まっとうを基準に行動していれば問題なし。
(おわり)
*中国の有名メーカーだそうです。紹興酒。